「藍師(あいし)」をご存知ですか?

藍染(あいぞめ)という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。でも、「阿波藍(あわあい)」についてはご存知でしょうか?
今日は、徳島の藍染と藍染職人である「藍師」の神秘的な世界をご紹介します。

藍染とは

藍染は古代から続く伝統的な工芸で、その歴史は約6000年前のペルーまでさかのぼります。藍草から抽出される藍色素を使い、織物を青く染め上げる技術です。世界的に有名な藍染には、日本の徳島の蓼藍(たであい)、インドのインディゴ、ヨーロッパのウォードなどがあります。

日本の藍染の歴史

日本では平安時代(794年~1185年)から藍染の原料である「蓼藍」が栽培されていました。当時、阿波国(現在の徳島県)は吉野川の豊かな水量に恵まれ、蓼藍の生育に適した環境が整っていたため、高品質な藍染が作られるようになりました。

阿波藍の起源は、室町時代(1333年~1603年)にまでさかのぼります。「兵庫北関舩入納帳」という記録には藍染の積荷記録が残っており、それが始まりとされています。江戸時代から明治時代にかけて、綿花の生産量が増加したことや、徳島藩が藍染業を奨励したことで需要が拡大しました。しかし、19世紀になると航海時代に入り、インドやヨーロッパから化学染料が輸入されたことで、藍染の需要は急激に減少しました。

製作方法、技法、そして体験

藍染の製作過程は非常に複雑です。蓼藍は1年に最大2回収穫でき、収穫後は日干し、発酵などの工程を経て染料が作られます。この過程はチーズやお酒の製造と似ており、特に阿波藍は天然発酵にこだわっているため、経験豊富で根気のある職人が必要です。このような職人の努力と政府の保護のおかげで、阿波藍は「伝統工芸重要無形文化財」に指定されています。

一般的な技法には、段染、絞り染め、折り染め、抜染などがあります。藍色の深みもさまざまで、「薄藍」「浅葱色」「縹色(はなだいろ)」「藍色」「勝色(かちいろ)」「留紺(とめこん)」などがよく使われます。

今回は初めての方でも挑戦しやすい段染を選び、好きな模様を加えて小さな袋を作りました。

ちょっとした豆知識

☆かつて武士たちは勝利を祈願して「勝色(かちいろ)」の衣服を身に着けたと伝えられています。勝色とは濃い藍色を指し、その由来は平安時代の「褐衣(かちえ)」からきています。

☆2020年の東京オリンピックのロゴは、徳島の藍師がデザインしたものです。とても意味深いですよね!

次回徳島を訪れる際には、ラーメンを楽しむだけでなく、藍染体験や阿波藍電車に乗る旅もぜひ計画してみてください。日本の職人の温かい心と技術を感じられる、素晴らしい体験が待っています!

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